すらんばーの、のうみそ

劇団すらんばーの中の人のひとりごとです。

「コインランドリーが世界を救う」

劇団すらんばー第三回公演

「コインランドリーが世界を救う」

 

フライヤーや当時のあらすじはHPをぜひ。

PAST PERFORMANCES | gekidan-slumber

 

今では恒例となっておりますが、

劇団すらんばーで初めてプロジェクターを使ったのがこの公演でした。

 

オープニングなどで映像の中動くというのがやってみたくなり、

プロジェクターを買いました。

 

映像編集は、高校時代に趣味程度で少しやっていたくらいで、

知識も全然なかったので、試行錯誤しながら作っていました。

動画の撮影技術も全然なかったので、今見るといろいろとアラが…。

編集ソフトもMacにもともと入っている無料のものを使用していて、

やりたいことを具現化するには色々と足りていなかったように感じます。

 

ただ、早苗が死んだ幼馴染である「マキちゃん」の話をするシーンは、

青い光と、マキちゃんとの思い出の写真のスライドショーが流れる中

早苗が取り止めのない想いを語るという、作りたいものが作れたシーンでした。

 

この話は思うことがたくさんあるので、この先のひとりごとはぶつ切りになりますが…。

 

ストーリーの話をすると、

「一回、ちゃんと話の道筋を突き詰めて書こう」と決心して書き始めました。

 

風が吹けば桶屋が儲かる、という言葉のように、

普段何気なくやっていることが実は世界滅亡を救っている、という

バタフライエフェクトのようなものにフォーカスを当てて書き始めました。

 

地球滅亡まであと1年、なんていう「ザ・ファンタジー」「ザ・SF」の話に、

いかにリアリティと現実味を持たせるか、というのが一番苦労した記憶があります。

地球ってどうやったら滅亡するんだろう、って調べ尽くしたりして

地学が苦手な自分を結構恨みました。プレートって一体なんなんだ…。

 

初めはシェアハウスの話にしようかと思っていたのですが、

同じ屋根の下で暮らしていたら、否応なしに関係が深くなるもので、

そんな深さの関係の中でバタフライエフェクトを描くのが難しく、

人は集まるけど、そこまで親密にはならない、現代版井戸端会議みたいなものを考えたら

コインランドリーかなあ、とコインランドリーを舞台に選びました。

 

そういえば、今まで作成したフライヤーデザインで一番好評だったのがこの公演でした。

一眼カメラを持って、コインランドリーの業務用洗濯機の写真を撮って回ったり、

いろんな場所にあるコインランドリーを撮影しに行ったり、

撮影の回数がめちゃくちゃ多かったです。

 

また、この公演は本番までが波乱万丈で、ずっとバタバタしてました。

もともとキャストは6人の予定でしたが、

顔合わせが終わった2週間後に、役者さんが一人降りてしまい、

諦めて5人で脚本を書き終えましたが、

稽古1週間前に、役者さんが体調不良にてでられなくなってしまい、

代役としてお迎えした方も途中ででられなくなってしまい、

再度代役としてお迎えした方は、本番まで2ヶ月無い中で練習に取り組んでくださいました。

間に合ってよかった…。

 

そして劇団すらんばー史上一番人気となったキャラクターが黒川!

黒川を演じてから、黒川役の役者さんの人気がすごく上がりました。嬉しい限りです。

黒川のキャラクターは役者さんの素とも、今までやってきた役とも全く違って、

音響の子からも「これこの人がやるの?」と驚かれましたが、

私ははまり役だと確信しながら書いていたので、納得の人気度でした。ふふん。

 

基本的に私が書く脚本は、

冬から春、夏から秋、など短い期間で起きる出来事が多いのですが、

今回は1年間の話ということで、春夏秋冬で全員衣装を変えていました。

めちゃくちゃ狭いハケの中で全員で静かに早着替えという過酷な状況…笑

この作品はいろいろと初挑戦のことが多かったです。

 

初めてちゃんとしたハッピーエンドを書きました。

後にも先にも、これほど大団円な脚本は書かないんじゃないかと思うほどの終わり方。

というのも、ずっとアンケートに「ハッピーエンドが見たい」というお声があったのです。

そのご感想をもとに、ハッピーエンドで書きました。

見終わった後に晴々しくなるっていいですよね。私もハッピーエンド好きなんですけどね…

地球滅亡も免れて、

弥生は少し心許して、

早苗はマキちゃんを乗り越えて、

ひよりは姉とのわだかまりを解消して…

とても綺麗さっぱりとしたエンディングだったと思います。

 

弥生のような、さっぱりとした女性を描くのが初めてで、とても楽しかったです。

「どうだっていいじゃないですか。どうせこの星、滅びちゃうんだから」

「次はうまくやれるかなあ。来世、火星人がいいなあ」

まったくうじうじしているところを人には見せず、

自分の気持ちを軸にして生きていける強い女性。

 

早苗は、死んでしまった幼馴染みのマキちゃんを自分の中で生かし続けるために、

マキちゃんの真似をして生きていく女性です。

マキちゃんのホワイトブロンドを真似して早苗もホワイトブロンドにするという役でしたが、

役者自身が地毛でホワイトブロンドまで近づけてくれて、

リアル早苗という感じでわくわくしました。

逆に最後に出てくる茶髪シーンがウィッグという…普通逆だと思います。すごい。

 

この公演まで、

リアリティを求めることを第一優先に考えており、

現実で起こりうる沈黙の間だったり、静けさなどを再現していたのですが、

公演を見てくださった方より、もう少しエンタメ性を見せてもいいのでは?と助言をもらい、

演劇を作る上での考え方が少し変わった、所謂転機だったと思います。

 

脚本を書いている時からずっと、

タイトルはこれだ!!と決めていたのですが、

制作に「ダサい」と一蹴され、ちょっと喧嘩しました。

ダサくないやい。

伊坂幸太郎の「陽気なギャングが地球を回す」みたいでかっこいいだろがい。

 

とまあ、

いろいろなことに挑戦し始めて、

いろいろなことを乗り越えて、

いろいろなことを考え直した、

劇団すらんばーにとって確信的な公演だったと思います。

 

公演の際の物販でこちらの台本も販売いたしますので、

最近劇すらを知ってくださった方などは、是非。

 

またコインランドリーに行ったら思い出していろいろ語るかとは思いますが、

今回はこの辺で。

 

おやすみなさい。